再びのお礼と共に頭を下げた夏来くんが、両腕でプレゼントを抱えて部屋の中へ消えていく。
「奏太のセンスに脱帽した」
「ふっ、なんで?」
「良すぎて」
「それは良かった」
「相当喜んでるよ、あれ」
「あの顔見れて満足」
「当日祝えなくて落ち込んじゃってさ」
「当然だよ、ケーキはどうしたの?」
「昨日同じの買ってきた。食欲もようやく戻ったから」
「でも可哀想だったね、当日にひどい高熱は」
パタパタと足音が近づいてくる。
玄関先へ一直線に走ってくると、両手で何かを高く掲げた。
「せんせい、見て?」
右手にはドクターヘリ、左手にはドクターカー。
「最高にカッコイイね」
「でしょ?ドアが開くんだよ」
「ドア開くの?…見せて?」
「ほら!」
「本当だ。よく気づいたね」
「せんせいありがとう、大切にする」
「うん、どういたしまして」
見せたら満足したようで、再び走って部屋へ戻っていく。
「ふふ、かわいい。だいぶゼーゼーしてるけど」
「少し休ませるわ」
「うん、それがいいよ。帰るね」
「本当にありがとう、今度お礼させて」
「いいから、そんなの」


