「お誕生日おめでとう」
「ありがとう、せんせい」
リボンの掛かった青い袋を差し出すと、躊躇うように蒼に視線を向ける。
「うん、もらっていいんだよ」
両手で袋を掴み、踵が跳ねる。
嬉しさが体全体に表れていて、思わず笑ってしまう。
「いいの?奏太…」
「もちろん」
「本当にごめん、ありがとう」
「気持ちだけだよ」
「開けていい?」
「どうぞ」
「開けてみる?」
蒼の問いに頷くと、リボンを一緒に解きながらその場で中身を取り出した。
「あ!」
目をまんまるく開き、口を抑え、大人顔負けのリアクションで蒼を笑わせる。
「救急車!」
「うん、知ってる?」
「知ってる…」
「こっちは知ってる?」
「知ってる…ドクターカーでしょ?」
「よく知ってるね」
「テレビで見たことある…」
「本に載ってるからあとで見てね」
いろんな車が載った本も一緒にプレゼント。
中をパラパラと捲っただけで、足の裏を浮かせ飛び跳ねて喜んだ。
よかったよ、悩んだ甲斐があった。


