*奏太side*
インターホンを鳴らすと、程なくしてドアが開いた。
「おはよう、夏来くん」
「おはよう…せんせい」
「えらいね。元気そうだ」
「もうね、風邪治ったの…」
事前に家へ行くと連絡は入れていた。
寝込んでいたら日を改めるつもりでいたが、蒼が良いと言った。
熱はもうないと聞いていたものの、近くで呼吸の音を聞くだけで喘息の気配を察する。
「ごめん、わざわざ来てもらっちゃって」
部屋の奥から出てきた蒼が、背後から手を回して耳に小さなマスクを掛けた。
「上がる?時間があれば」
「いや、いいよ。少しつらそうだから手短に」
「わかる?熱はもうないから安心して」
「それはいいんだけど。大丈夫だった?今日で」
「大丈夫。喘息が落ち着かないだけ、風邪はもう治りかけてる」
「そうか、それでもちょっと辛そうだな」
「時期的なものもあるかも。でも、奏太に会えるの楽しみにしてた」
そう言って小さな頭を撫でた蒼が、腰を屈めて声を掛ける。
「ね?楽しみにしてたでしょ」
「うん…」
「大好きだもんなあ」
「……」
少し照れくさそうに笑った夏来くんが、首を小さく縦に動かした。
可愛いよな、本当に。
「先生も楽しみにしてたよ」
「えへへ…」
「この間お誕生日だったでしょ?だからお祝いに来たの」
袋を開いて中を見せる。
アイスクリームには当分困らないよ。
「アイス…?」
「バニラのアイスだよ。好き?」
「だいすき!」
「みんなで食べてね」
「ありがとう…」
少し照れくさそうに後ずさりをしたが、喜びは隠しきれないようだ。


