パタン、とドアが閉められた。
薬を飲んですぐに再び深い眠りの中へ。
「寝た?」
「寝た」
「ありがとう…今日大変だった?」
「全然。静かに診察受けてくれたよ」
「拒んだ姿しか想像できないけど、もうそんな年じゃないもんね」
「ちょっと驚いた、冷静に考えたらそうなんだけど」
手を握ってくれるのも、あとどのくらいかわからない。
ある日突然一歩先を歩くようになり、今日のことを思い出し、「早かった」と振り返るのだろうか。
年に一度の大切な日。
楽しみにしている姿を何度も見ていたからこそ、風邪を引くタイミングに胸が痛む。
「今朝の夏来、覚えてる?」
「覚えてる」
「パーティーがしたい」と季蛍に弱音を吐いていた朝のことを思い出す。
「すこしなおった!」
と9度近い熱がありながら、飛び跳ていたのだ。
まるで自分は大丈夫だと、俺らに言い聞かせるように。
「治った?よかった!」
と答えながら、お互いに限界であることを察していただろう。
「回復したらすぐに祝ってあげたいの」
「うん、そうしよう」
今はただ回復を見守り、発作に苦しむ夜が来ないことを祈るだけだ。


