すっかり眠り込んでしまった体を抱え、駐車場から自宅を目指す。
首元に触れた額は熱く、胸で不規則な呼吸を直に感じ取ることが出来た。
「ッゲホゲホ…ッゲホゲホ……」
「つらいね。もう家着くから」
「…くるま?」
「車降りたよ」
激しい睡魔の中、重たい瞼で辺りを見回す。
自宅付近であることを確認すると、再び顔を胸の中へ。
「夏来、少しだけ立てる?」
「…んん」
「一瞬。もう家に着いたから」
自宅玄関を前にして、鍵を開ける余裕がない。
片手でポケットを探るが、どうやらそれは反対側に入っているようだ。
「降ろしていい?」
「や!」
「一瞬!」
ブンブンと首を左右に振られたので、仕方なく体を持ち替えて…
と、そうこうしていると、内側からカチャンと鍵が開く音が。
続いて扉が動き、中から苦笑した季蛍が顔を覗かせた。
「ふふ。鳴らせば良かったのに」
「バタバタしてたら悪いと思って」
「いいよ、そんなの」
「どうして気づいた?」
「声が聞こえた」
「どうしても下に降ろすなって言うから」
「んふふ、大変だった?ありがとう」
「いいや、診察は上手に受けたよ。ね?」
「…うん」
「そうなんだ!えらいね。蒼を困らせてるんじゃないかと心配してたけど」
「いいや、むしろ助かるくらい」
夏来を抱えて洗面所に運んだ季蛍は、力の入らない体を支えながら再び苦笑した。
「体、あっつい」


