この先の展開では、主人公を認めたミシマくんにツンデレ要素も追加される。普段クールぶってるから、なかなか素直になれなくて、ついツンツンしてしまうのだが、そこが最高にかわいいギャップというか。「主人公、主人公」ってなってるミシマくんが最高に主人公愛が深いというか。とにかく、腐女子の妄想をとてつもなく掻き立てる最高に愛らしいキャラだと思う。声優さんも大好きな田辺さんだし。ミシマくんを好きにならない要素が逆に見当たらないのだが……?

「でも所詮は架空の登場人物だよね? よくそこまで熱中できるなぁって」

 不思議そうに言う篠原くんの言葉は衝撃的だった。これが、非オタとオタクのアニメの観方の違いなのか?

「篠原くん、ミシマくんは生きている(・・・・・)んです」

「え?」

「ミシマくんは低血圧なので、朝はなかなか起き上がれません。10分くらいぼーっとした後、歯を磨き、シャワーを浴びたあとは、朝食をとります。朝食はチーズののった、半熟の目玉焼きとトースター。毎朝ミルクは欠かせません。その後、任務がなければ学園(アカデミー)へ行きます。元はおぼっちゃんなので、苦手な家事や自炊だって頑張ってるんです。そして、夜は主人公の抱き枕を抱いて寝ているんです!」

 ミシマくんだって風邪を引くし、トイレにだって行くのだ。

「会えないだけで別の次元では、ミシマくんは生きている(・・・・・)んです!!」

「……そう、なんだ」

 篠原くんは、なんとも言えずに黙り込んでしまった。

 次元が違うから会えないだけで、ミシマくんは存在してるんだもんね、ミシマくん。






 アニメを一気に3話までしっかり見た。展開も早いし、見どころ多いし、ミシマくんも可愛いし、とにかく最高だったな。本当はもっと見たいけど、さすがにずっと見ているのは来てくれた篠原くんにも悪いので今日はこの辺にしよう。

「どうでした? 篠原くん。アニメハマりました?」

 もし気に入ってくれたのなら、原作の方もお勧めしますよ。公式アプリなら無料で読めますからね。

「面白かったと思うよ。津田さんの狂気も見れたしね」

 きょうき? そんなものありましたっけ。
 残念ながら、篠原くんをアニメ沼に引きずり込むことはできなかったようだ。

「篠原くん、あれからクリスマスのご予定は?」

「特にないよ」

 ちなちゃんのクリスマスパーティの件は、他の子もいるということで辞退させてもらった。残念だけど、ちなちゃんには友達が多いのでしかたない。

 去年のクリスマスは部屋に引きこもってたから、ボッチで寂しくゲームして過ごしていたな。今年のクリスマスは、美味しいものを食べて過ごしたい。

「クリスマスパーティと言うほどでもないんですけど、お母さんがごちそうを作ってくれるんです。篠原くんもおじさんと一緒にどうですか?」

「うん、お邪魔させていただくね」

 なんと。断られるかと思ったのに。篠原くんたちとクリスマスを過ごせるなんて、一生分の幸運を今年のクリスマスにつぎこんでるんじゃないだろうか。