派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「それなら、お願い!」
「何!? 待て!」

 ディゾール様の制止も振り切り、私は駆け出した。野次馬達をかき分けて、逃げる女性を追う。
 近づいてみて、私はその女性が誰なのかを理解した。彼女は、レフェイラ・マグリネッサ伯爵令嬢。メルティナを虐めていた令嬢達のまとめ役である。

「くっ……」
「あ、待ちなさい!」

 私が追いかけていることに気づいたのか、レフェイラは駆け出した。その反応は、彼女があの迷宮に関わっていることを表している。
 これは、いよいよ逃がす訳にはいかなくなった。なんとしても、彼女から話を聞かなければならない。

「わっ!」
「きゃあ!」
「ア、アルフィア様……!」
「え? メ、メルティナ?」

 レフェイラを追いかけている最中、私は階段から下りてくるメルティナとぶつかりそうになった。まさか、こんな時に彼女と再会するとは思っておらず、私はとても驚いてしまう。

「ぶ、無事だったのね。良かったわ。でも、今はあなたとの再会を喜んでいる場合ではないの。レフェイラを追わないと……」
「レフェイラ様を? そうですか、それなら丁度良かった。私も、彼女を探していた所ですから」
「そうだったの? 一体何が……いえ、今はそれよりも彼女を追いかけましょうか」
「ええ、そうしましょう。彼女は、確か、こっちに行ったわ」
「はい、行きましょう」

 事情はよくわからないが、メルティナもレフェイラのことを探していたようだ。
 それなら、とりあえず彼女を追うべきだろう。そう意見が一致した私達は、レフェイラが行った方向に向かった。
 しかし、角を曲がった先にレフェイラはいない。どうやら、私達が話している間に、どこかに行ってしまったらしい。