派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「本来なら、迷宮はもっと複雑にするべきだ。できれば、しばらくは迷宮に入ったと認識しないようなものの方が望ましい。もっとも、今回は時間がなかったんだろうね」
「まあ、ドルキンスが校舎裏に出てから、戻る間に作ったと考えると、時間はなかったように思えるわね」
「ああ、だから、特に複雑な仕掛けはないんだろうね。普通に閉じ込めなかったのは、恐らく分析に時間がかかるからだ。実際に、僕はこの迷宮を解明するのにそれなりの時間を要してしまった。もしかしたら、これは相手の思うつぼだったのかもしれない」

 キャロムは、少し悔しそうにそう言いながら廊下の端の方に移動した。丁度、空間が繋がっている境目の前に立ち、ゆっくりと構える。

「……これは」
「キャロム? どうかしたの?」
「驚いたな……まさか、これ程の魔力とは」

 キャロムは、驚いていた。それは、この迷宮を作り出した魔力に対する驚きのようだ。
 どうやら、ここには彼が想定していたよりも膨大な魔力が込められているらしい。私にはよくわからないが、キャロムが驚く程なのだから、それは相当なものなのだろう。