派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「そもそも、俺からすれば、キャロム君が何に悩んでいるかわからんな……君は、優れた魔力を持っている。それなのに、どうして悩む必要があるんだ? なんというか、少し贅沢なような気がしてしまうな……」
「贅沢……?」
「だって、そうだろう。他のほとんどの人より優秀であるというのに、上にいる一人を見て思い悩むなんて……俺からすれば、贅沢な悩みさ。俺の魔力は五十三。俺なんか、どれだけ上がいることか……」
「そ、それは……」

 ドルキンスは、少し落ち込んでいた。それは、自分の魔力が平均よりも低いことを悲しんでいるのだろう。
 その様子を見て、キャロムは言葉に詰まっている。流石に、このドルキンスに返す言葉はなかったということだろうか。

「兄上にはいつも怒鳴られるし、父上や母上も俺のことなんか既に見放しているようなものだ。俺ももっと優秀だったら、そう思うことが、何度あったことか……」
「そ、そうなのかい?」
「ああ、俺からすれば、キャロム君が羨ましくて仕方ない。それだけの魔力があれば、俺も……おっと、すまないな。俺のことなんて、どうでもいいことだ」

 ドルキンスは、キャロムが困惑していることに気づいたからか、先程までの雰囲気を一変させて笑顔を見せた。そういう風に、すぐに切り替えられるのも、彼のすごい所だと思う。