派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「成果が出せなかったら、怒られたんだ。どうして、できないんだって……だから、僕は成果を出した。誰よりも優秀でなければ、僕は駄目なんだ。だって、そうでなければ、僕は認められないんだから……」
「認められない……か」

 キャロムは、かなり思い詰めたような顔をしている。それは恐らく、成果が出せなくなって、両親に認められないという恐怖からのものなのだろう。
 彼の根底には、それがある。両親に認められなければならない。その強迫観念のようなものこそが、彼の今までの行動の裏にあったものなのだ。
 メルティナが自分より上だと認めれば、自分が認められなくなる。それは、彼にとって絶対に避けたいことなのだろう。

「なるほど……あなたが、どうしてメルティナに負けたくなかったのか、それは理解できたわ」
「そう……それで、あなたはどう思ったのかな?」
「それは……」

 キャロムに聞かれて、私は少し考える。彼の根底にある感情は、両親に対するものだ。それをどうにかするには、とても難しいものだろう。
 私の考えを伝えることはできる。だが、それで彼の中にあるわだかまりを取り除くことができるのだろうか。
 結局の所、それは両親との問題だ。私が何か言っても、無駄な可能性はある。
 しかし、それでも話さなければ、何も進まない。ここは、思い切って、私の考えを話してみるべきだろう。