派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「一番でなければならない? それは、どういうことなの?」
「僕は、生まれた時から魔力が高かった……それで、周りの人にも期待されていたんだ。母さんとか、父さんとか……そういう人達は、皆、僕が立派になると、そう信じて疑わなかった……」
「期待……されていたのね?」
「ああ、そうさ……その期待があったからなのか、僕は家の手伝いも任されず、部屋で勉強させられた。勉強以外のことは……許されなかった」
「許されなかった……そんな馬鹿な……」

 キャロムの言葉に、私は驚いた。勉強以外のことを許さない。その強い言葉で、彼がどのような環境で生きてきたのか、伝わってきたからだ。
 恐らく、彼はとても窮屈な生活を送っていたのだろう。部屋に閉じ込められて、勉強させられる。それ以外のことは許されず、ただひたすらに勉強。想像しただけで、息が詰まる。そんな生活を強要させられるなんて、なんと苦しいものなのだろうか。