派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「隣、いいかしら?」
「何? 僕に、何か用なの?」
「まあ、そんな所かしらね」

 私は、キャロムの隣に座った。彼と話すには、そうする方がいいと思ったのだ。
 私が隣に座っても、キャロムは何も言わない。それを、私は肯定と判断することにした。
 やはり、彼は寂しがり屋なのだろう。だから、誰かに傍にいてもらいたい。そういうことなのではないだろうか。
 さて、ここからどうするかが問題である。まず、何から話すべきだろうか。

「……メルティナに負けたのが、そんなに悔しかったの?」
「なっ……!」

 少し考えたが、私は直球で質問することにした。回りくどい聞き方をしても、結局それを聞かなければ、この問題は解決しないと思ったからだ。
 流石に、キャロムも驚いている。まさか、最初からそれを聞かれるとは思っていなかったのだろう。

「べ、別にそういう訳では……」
「それなら、どうしてここにいるのかしら?」
「それは……」

 私の質問に、キャロムは言葉を詰まらせた。流石に、すぐに上手い嘘をつくことはできなかったようだ。