派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「まずは、小手調べと行こうか……僕のこの魔弾を食らうがいい!」

 キャロムは、光の球体をメルティナに向けて撃った。それに対して、メルティナは動かない。どうやら、彼女はキャロムの魔弾を受け止めるつもりらしい。

「なっ……! 躱さないなんて……!」

 そんなメルティナの様子に、キャロムの方が驚いていた。彼にとって、その高い魔力を込めた魔弾に対して何もしないというのは、少し恐ろしいことなのだろう。
 だが、メルティナは微動だにしない。そのまま、彼女に魔弾が着弾する。

「……」
「ば、馬鹿な……」

 メルティナは、魔弾を受けても一切動かなかった。まるで何事もなかったかのように、その場に佇んでいるのだ。
 私や他の生徒達がキャロムの魔弾を受ければ、試合は終わっていただろう。だが、メルティナにとっては、それは躱す必要すらないものだったようだ。

「挑発しているのか? それなら、これでどうだ!」

 キャロムは、自らの周りに魔弾を何個も作り出した。手数で攻めるつもりなのだろう。
 彼は、それらを一気にメルティナに向けて撃ち出す。だが、それでも彼女は動かない。キャロムの攻撃を受けきるつもりのようだ。