派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「試合のルールについては、知っているかな?」
「ええ、知っています」
「そうか……それなら、すぐに始められそうだね」

 二人は向かい合って、お互いを睨みつける。既に、戦いの準備はできているようだ。
 魔法を使った試合には、ルールがある。複雑なルールはあるらしいが、把握しておかなければならないことは、そこまで多くはない。
 試合は、お互いに体に魔力の障壁を纏って行う。障壁というのは、肉体を守る壁だ。試合は、これを破ることで勝敗を決める。
 これは、安全のための措置だ。生身で魔法を受け止めると一たまりもない。それが許可されれば、魔法での戦いは殺し合いになってしまう。

「さあ、魔力の障壁を纏うんだ」
「ええ」

 二人は、お互いに魔力の障壁を纏った。それは、この試合での二人の命である。
 当然、魔力が高い方が障壁も厚い。見た目上に差はほとんどないが、この時点で二人の間には歴然の差があるかもしれない。