派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「あ、あり得ない……そんな数値があるはずがない!」
「……」
「測定器の故障だ……そうに違いない……」

 キャロムは、必死にメルティナの結果を否定した。彼にとって、自分を越える天才は、きっと耐えがたいものなのだろう。
 その理由は、私にはわからない。だが、彼が激昂していることから、気に入らないということは間違いないだろう。

「誰か、違う測定を貸してくれ!」
「ど、どうぞ……」
「さあ、もう一度測るんだ。君の本当の魔力を教えてくれ」

 キャロムは、他の生徒から測定器をもらい、それをメルティナに渡した。
 渡されたメルティナは、仕方ないというような表情で、測定器に手をかける。彼女にはわかっているのだろう。何度測定しても、結果は変わらないということを。

「六千百七十六……そんな馬鹿な!」

 無情にも、測定器は先程とほぼ変わらない数値を示していた。多少の誤差はあるが、それはキャロムが望んでいた差ではない。

「あり得ない! 僕より……僕より君の方が優秀だというのか!」
「キャロムさん、落ち着いてください。別に、魔力が私の方が高いからといって、私があなたよりも優秀であるということにはなりません」
「……僕と勝負しろ。試合で決着をつけてやる!」
「キャロムさん……」

 キャロムは、メルティナを睨みつけていた。その眼光には、決意が見える。彼は、本気でメルティナと勝負しようとしているのだ。