派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「さて、次はあなただね。さあ、どうぞ」
「……ええ、失礼します」

 そんなキャロムから、メルティナが測定器を受け取った。彼女は、神妙な顔をしている。それは、これから起こることを彼女も知っているからだろう。
 メルティナは、ゆっくりと測定器に手をかける。すると、測定器はそこに驚くべき数値を映し出してく。

「ろ、六千……百、七十……八? そんな馬鹿な……」

 測定機には、六千百七十八という数値が映し出されている。私どころか、キャロムまでも圧倒するその数値は、普通ではない。
 正直、私も少し驚いている。ゲームではこのイベントの時、彼女の魔力は三千程だったはずだからだ。
 ゲーム終盤の彼女は、その倍まで魔力を増幅させていたようである。その成長速度も、凄まじいものであるらしい。

「う、嘘だ……」

 キャロムは、メルティナの数値に茫然としていた。自分より遥かに膨大な魔力を持つ彼女を、信じられないという風な瞳で見つめている。
 もちろん、驚いているのはキャロムだけではない。周囲の生徒達も、皆驚愕している。
 だが、キャロムはその中でも顕著だ。その絶望的ともいえる表情は、他の人とは比べ物にならない程の驚きを表している。