私達は、周囲を見渡した。多くの人達は、既に四人組を作っている。そんな中、一人で腕を組んで仁王立ちしている一人の少年が目に入ってきた。
 それは、キャロムである。彼は、一人で何も言わずに立ち続けているのだ。
 彼を誘うべきか、私は少し考える。実は、この後のことを考えると、彼を誘うのはあまり気が進まないことなのだ。

「バルクド様、キャロムを誘ってきますね……」
「……ええ、それがいいでしょう」

 しかし、一人の彼を放っておくことはできそうにない。心情的にも、状況的にも、彼を誘うしかないなのだ。
 という訳で、私はキャロムの元に向かう。近づいても、彼は特に何も言ってこない。

「……キャロム、一緒にどうかしら?」
「え? ああ……まあ、構わないけど?」

 私が声をかけると、キャロムはゆっくりと頷いてくれた。その表情は、少し安心しているように見える。
 三つ年下であることやその極端な言動から、キャロムはクラスの中でも少し浮いている。近寄りがたい人物だと思われているのだ。
 自業自得なのかもしれないが、彼は孤独である。そして、恐らくそのことを寂しがっているだろう。本人は隠そうとしているが、それは先程の反応からも明らかだ。
 彼も、中々難しい人間である。嬉しそうに私についてくる彼を見ながら、私はそんなことを思うのだった。