派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「はあ、これから授業が始まるというのは、中々に憂鬱だな……あんたもそうは思わないか?」
「え?」

 ホームルームが終わって、私は隣から声が聞こえてきた。しかし、それはメルティナの声ではない。彼女とは反対側から男性の声が聞こえてきたのだ。
 私は、ゆっくりとその報告を向く。そこには、長い金髪の男性がいる。

「俺は、昔から勉強というものは苦手なんだ。体を動かす方が気持ちがいいしな……まあ、だから、魔法の実技に関しては、結構楽しみではあるんだが……」
「そうですか……」

 隣の男性は、私に対してとても親し気に話してきた。
 しかし、私と彼は別に親しい訳ではない。それでもこのように話せるのは、彼の性格故なのだろう。
 といっても、別に私達はまったく知らない間柄という訳ではない。私達は、お互いに貴族として知っているのだ。

「ドルキンス様の言っていることは、わからない訳ではありません。ですが、大切なことですよ?」
「まあ、そうだな……わかってはいるんだが……」

 彼の名前は、ドルキンス・ロンバス。ロンバス公爵家の令息である。その名の通り、彼はこの学園の生徒会長であるディゾール様の弟だ。
 彼も、ゲームの登場人物である。ただ、私は彼のことをよく知らない。彼が絡んでくるであろうディゾール様のルートを、私はプレイしていないからだ。