派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 しばらく睡眠を取ってから、私は食堂に向かうことにした。寮での食事は、基本的にはそこで取ることになっている。
 恐らく、食堂での食事は息苦しいものになるだろう。この学園に通っている者達のほとんどは貴族だ。その目がある中での食事は、そんなに楽しくなさそうである。
 いや、もしかして、そうではないのだろうか。息苦しい貴族の生活から解放されて、皆案外そういうことは気にしない空気になるかもしれない。

「……あら?」
「あっ……」

 そこで私は、部屋から出てくるある人物に気づいた。メルティナが、自室から出てくる所に、丁度私が通りかかってしまったのだ。
 私は、思わず足を止めてしまう。教室で話していて、ここでそのまま通り過ぎるのが変だと思ったからだ。

「こんにちは、メルティナさん……もうこんばんはかしら?」
「そうですね……こんばんは、アルフィア様。アルフィア様も、食堂に向かっているのですか?」
「……ええ。ということは、あなたも?」
「ええ、そういうことです」

 この時間に部屋から出て来たので当然のことかもしれないが、メルティナも食堂に向かうようである。