派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

『オルディネス……』

 そのまま、ネルメアの魂が入っているゴーレムはオルディネスの魂が入ったゴーレムの元に向かう。
 そのゆっくりとした足取りからは、最早敵意は感じられない。ただ、愛する夫の傍に行きたいとそう思う彼女の思いだけが、伝わってくる。

『……メルティナ、どうやら私は初めから負けていたようね』
「……」
『いいえ、負けていたなんて表現は正しくないのかしら……私は、ただ間違えていた。そういうことなのね』

 ネルメアの周りには、結界が張り巡らされていた。恐らく、それは、メルティナの結界だろう。二体のゴーレムを包み込むような結界の中で、魂だけになった夫婦は寄り添っている。
 そのゴーレムが、ゆっくりと崩れていく。それは、ネルメアが完全に諦めたからだろう。彼女は、自ら消えようとしているのだ。
 魂というものは、あるべき場所に帰るという性質がある。それは、私自身が証明済みだ。
 だから、後は彼女の思い一つで旅立つことができるだろう。あるべき場所へと。

「あれは……」
「うん、ネルメアとオルディネスだよ……」

 ネルメアはオルディネスの魂を抱きかかえながら、ゆっくりと天へと昇っていく。
 私達は、ただそれを見守っている。これで、戦いは終わったのだ。