派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 ネルメアの言葉に、オルディネスはこちらの方を見てきた。
 その表情は真剣である。だが、私は少し不思議な感覚を覚えた。
 目の前の男性からは、殺気や覇気というものが感じられないのだ。まるで、私達に敵意がないようなそんな印象を覚えてしまう。

「……ネルメア、その人は……」

 メルティナも、それを感じ取ったのか、驚いたような表情をしていた。
 いや、そうではないのかもしれない。彼女の表情が、すぐに悲しそうなものに変わったのを見て、私はそう思った。

「ネルメアよ。もうやめるのだ」
『……え?』

 そんな風に私が思っている内に、オルディネスは言葉を発していた。
 その内容に、ネルメアは驚いている。そんなことを言われるとは、思っていなかったのだろう。

「ここは、未来の世界なのだろう? 我々は過去の人間だ。そんな我々が、この時代に干渉していいはずがない」
『……何を言っているの?』
「……あそこにいるのは、子供達か? 未来ある子供達を傷つけるなど、許されることではない。すぐにやめるんだ」

 オルディネスは、ネルメアの行動を諫めていた。
 どうやら、彼は私達を傷つけることを望んでいないようだ。
 それは、とても意外なことだった。邪悪なる暗黒の魔女の夫が、ここまで優しさに溢れた人物とは、私達もまったく考えていなかったことである。