派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 ゲームの中の彼女は、この赤髪とその地位を誇りと評していた。それが今の私にとっては、不思議で仕方ないのである。
 彼女は、この赤髪で色々な不利益を受けてきたはずだ。私と同じような境遇だったなら、これを誇りだということなんてできないはずである。

「確かに、立派な赤髪だけど……でも、あんな扱いをされて、どうしてそれを誇りに思ったの?」

 私は、鏡に映る自身に問いかけていた。正確に言えば、私と同じ顔をしたアルフィアという一人の女性に対してどうしても聞いてみたかったのである。
 当然のことながら、アルフィアは答えてくれない。私の大きな疑問の答えは、まったく返って来ないのである。

「まあ、返って来たら、それはそれで怖いのだけれど……」

 私は、鏡を見るのをやめて、ベッドの上に寝転がった。今日は、色々と神経を使った。そのため、とても疲れている。このまま眠ってしまいそうなくらいだ。
 別に、ここで眠ってもいい。自室なのだから、それはまったく問題ないことである。
 ただ、食事などの時間帯はきっちり決まっているので、それまでには起きなければならない。このままぐっすりと眠ってしまいそうなので、そこは少し気掛かりだ。
 そう思っていても、眠気には勝てない。私はゆっくりと目を瞑り、そのまま眠りにつくのだった。