派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 バルクド様は、そう言ってその剣を掲げた。そして、そのままゴーレムに向かって行く。
 それに対して、ゴーレムは大きく振りかぶる。その巨大な拳で、彼をひねりつぶすつもりのようだ。

「甘い!」
『なっ……!』

 ゴーレムの攻撃を、バルクド様は素早い動きで躱した。その身のこなしは、見事である。

「……敵も味方も、驚いているようだな」
「え? リオーブ様?」

 驚いていた私に話しかけてきたのは、リオーブだった。彼は、バルクド様の動きに対して、笑みを浮かべている。どうやら、私達と違って事情を知っているようだ。

「あいつは、昔から剣技の才能があった。本人がそういうことを自慢する質じゃないから、俺くらいしか知らなかったがな……」
「そ、そうだったのですか?」
「ああ、最近、あいつは密かにその剣技をさらに磨いていたんだ。こういう戦いがある時、少しでも役に立てるかもしれないってな」

 リオーブの言葉に、私はまたも驚くことになった。バルクド様がそこまで優れた剣士だったなんて、まったく知らなかったからである。
 少なくとも、私はその話を聞いたことがない。メルティナも困惑しているので、彼女もそうだったのだろう。
 しかし、これは幸運なことだ。これで、ゴーレムの内一体は、バルクド様が引き受けてくれる。