派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 ホームルームも終わり、私は学園の寮の自室に来ていた。魔法学園は、全寮制の学校である。私は、今日からこの部屋で過ごすことになるのだ。
 魔法学園は、生徒達の自立心を養うために、親元から離して生活させることにしている。それは、親に保護されてきた貴族の子供にとって、いい経験になるだろう。そういう意図があるのだ。
 ただ、その意図とは裏腹に、多くの生徒達にとって、この寮生活は楽しいと感じることであるらしい。
 ここに通う生徒の多くは貴族だ。その貴族達にとって、親元から離れるということは開放感を与えるものなのである。

「かくいう私も、その一人だものね……」

 私も、今日から寮で生活するということには開放感を覚えていた。私にとって、セントルグ公爵家での生活は素晴らしいものではなかった。はっきりと言って、息苦しいといえるものだったのだ。
 私は、父親からも母親から嫌われている。この赤髪によって、父は自分の子か疑い、母はそのことで私に恨みを向けていたのだ。
 そんな二人に囲まれた生活は、苦しいものだった。だからこそ、この寮で生活できるのは、かなり嬉しいことなのである。

「赤髪……赤髪か」

 私は、部屋の中にある鏡に映る自分を見つめながら、ゆっくりと考えていた。この赤髪は、アルフィアに対してどのような影響を与えてきたのだろうかと。