派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「まさか……」

 私は、急いでカーテンを開けた。外の様子を確認するためだ。
 外は、まだ暗闇に包まれている。だが、それでもわかった。こちらに、迫ってくる大きな影があるということに。

「何、あれは……」

 ゆっくりと足音を立てながら、こちらに向かってくる影があった。
 それは、どれくらいの大きさなのだろうか。遠くからのため、よくわからないが、少なくとも人間よりも遥かに大きい。
 だが、その影は人の形をしているように見える。所々歪な凹凸はあるが、手足があって顔もあるため、人型といっても差し支えないだろう。

「そんなことを考えている場合じゃない」

 そこで、私は思考を切り替える。あの人型が、何者なのかなんて、今はどうでもいいことだ。
 問題は、あれがこちらに向かってきているということである。少なくとも、何かしらの行動は起こさなければならないだろう。

「メルティナに……いや、それよりも、まずは避難が先?」

 私は、これからの行動を考える。メルティナの元に向かうべきか、それとも避難を誘導する方が先か、少し迷ったのだ。
 だが、すぐに結論は出た。なぜなら、部屋の外から避難を呼びかけるような声が聞こえてきたからである。
 考えてみれば、他の人達も、当然あれには気づいているだろう。それなら、避難はそちらに任せていいはずだ。
 こうして、私はメルティナの元に向かうことにするのだった。