派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 メルティナは、私に挨拶をしたかったようである。隣の席になるのだから、これから色々と接する機会もあるはずだ。そう思って挨拶をするのは、何もおかしいことではない。
 妙だと思うのは、私がゲームの彼女を想像しているからなのだろう。だが、育った環境、歩んできた人生、それによって人間は変わる。もしかしたら、このメルティナは、ゲームとは違う人生を歩んでいたのかもしれない。それで、ゲーム終盤のような性格になったという可能性は充分あるだろう。

「……」
「……」

 今までは、こんなことはなかった。そのため、少しだけ引っかかる部分はある。
 だが、同時に思っていた。私だって、ゲームのアルフィアとは大きく性格が違う。それを考えると、メルティナの違いなど些細なことであると。
 だから、そこまで気にすることではないだろう。いや、それどころか、彼女の性格が違うということは、私の破滅が遠ざかるとすら考えることができるはずだ。むしろ、喜ぶくらいでいいのかもしれない。

「皆さん、席に着いてください。これから、ホームルームを開始します」

 色々と考えている内に、担任の先生が来た。やっとホームルームが始まるようだ。
 こうして、私は色々と考えながら、先生の話に耳を傾けるのだった。