派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「結局の所、皆あんまり進展している訳ではないということかな?」
「ええ、そういうことみたいね」

 私の結論に、アルフィアはゆっくりと頷いてくれた。
 結局の所、私達は恋愛面において特に進展はないということだ。なんというか、少し寂しいような気もするが、それはきっとこれから変わっていくことなのだろう。

「そういえば、ずっと聞きたかったことなのですが、シズカさんはこちらの世界のことを物語で知ったのですよね?」
「え? うん、そうだよ」
「それは、どういうものだったのですか?」

 そこで、ファルーシャがそんな質問をしてきた。
 私は、ゲーム『Magical stories』で知った。それは、皆に伝えていることだ。
 だが、その内容を詳細に伝えてはいない。それが、彼女は気になっているようだ。

「どういうものか、か……えっと、ファルーシャは時が巻き戻る前のことは、覚えているんだよね?」
「ええ、ある程度は覚えています」
「私がゲームで見たのは、その内容と同じようなものだったと思うよ。メルティナとバルクド様が恋に落ちて、アルファアがそれに嫉妬して……そういう流れだった」
「そうなのですね……」

 私の言葉に、ファルーシャは少し考えるような表情をしていた。どうやら、何か気になることがあるようだ。

「どうかしたの?」
「いえ、その……シズカさんの知っているその物語の中に、シャザームがいたのか気になって」
「それは……」