「実の所、私はもうバルクド様に思いを抱いていないのよ」
「え? そうなの?」
「ええ、もうその思いは、綺麗さっぱりなくなったわ」
アルフィアは晴れやかな顔で、そんなことを言ってきた。
前提として、彼女はバルクド様に熱烈な思いを抱いていた。ゲームをやっていて、私が怖いと思うくらいには、熱狂的な愛を彼に向けていたのである。
それがなくなったというのは、驚くべきことだ。一体、どういうことなのだろう。彼女の心情に、何か変化があったのだろうか。
「確かに、私は彼のことを愛していたわ。でも、それが本当の愛だったのかどうか、今となってはわからないのよね……」
「わからない?」
「なんていうのかしら……私は、彼のことを見ているようで見ていなかったというか、彼個人に対して目を向けていなかったというか……」
アルフィアがバルクド様に抱いていた思いは、思っていたよりも複雑なものであるようだ。少なくとも、彼女自身でも言葉にできないくらいには。
だが、わからない訳ではない。要するに、アルフィアは恋に恋していたというような状態だったのではないだろうか。
「だから、メルティナが彼と愛し合ったとしても、別に問題はないと思っていたわ。正直、私は公爵家のことなんてどうでもいいし、彼に婚約破棄を言い渡したの」
「え?」
「え? そうなの?」
「ええ、もうその思いは、綺麗さっぱりなくなったわ」
アルフィアは晴れやかな顔で、そんなことを言ってきた。
前提として、彼女はバルクド様に熱烈な思いを抱いていた。ゲームをやっていて、私が怖いと思うくらいには、熱狂的な愛を彼に向けていたのである。
それがなくなったというのは、驚くべきことだ。一体、どういうことなのだろう。彼女の心情に、何か変化があったのだろうか。
「確かに、私は彼のことを愛していたわ。でも、それが本当の愛だったのかどうか、今となってはわからないのよね……」
「わからない?」
「なんていうのかしら……私は、彼のことを見ているようで見ていなかったというか、彼個人に対して目を向けていなかったというか……」
アルフィアがバルクド様に抱いていた思いは、思っていたよりも複雑なものであるようだ。少なくとも、彼女自身でも言葉にできないくらいには。
だが、わからない訳ではない。要するに、アルフィアは恋に恋していたというような状態だったのではないだろうか。
「だから、メルティナが彼と愛し合ったとしても、別に問題はないと思っていたわ。正直、私は公爵家のことなんてどうでもいいし、彼に婚約破棄を言い渡したの」
「え?」



