メルティナは、今度は明るい笑みを浮かべていた。その笑顔に、私は安心する。
 彼女は、これまで充分頑張ってきた。そろそろ、休んでもいい時期だろう。
 他の皆だってそうだ。ここにいるのは、ただの学生である。そんな人達が、いつまでも事件に振り回されるべきではないのだ。

「シズカさんの言う通り、今回は騎士団に任せることにします。キャロムさんやディゾール様と相談して、こちらが持っている情報を渡して、それで私達の役割は終わり。それで、いいんですよね?」
「うん、それでいいと思う」

 メルティナの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 きっと、これでいいのだ。事件のことは騎士団に任せて、私達は学園生活を送る。学生として、それが一番正しい形だろう。
 少し残念なのは、修行の成果を出せないことである。でも、強くなりたいと思う気持ちは変わっていない。これからも、ディゾール様の元で学びたいとは思っている。
 恐らく、それでいいのだろう。この経験はきっといつか役に立つはずだ。例え、こちらの世界でなくとも。

「さて、もうそろそろ夕食の時間だよね? 食堂に向かおうか?」
「ええ、そうですね。そうしましょう」

 私とメルティナは、手紙を置いて部屋から出て行く。
 こうして、私達は暗黒の魔女の件を騎士団に任せることにしたのだった。