派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「……うん?」
「ドルキンス? どうかしたの?」

 そこで、ドルキンスが少し怪訝そうな声をあげた。
 その声に反応して、私は彼の視線を追う。すると、少し離れた場所から私達を見ているキャロムがいる。

「キャロム君、どうかしたのか? そんなにこっちを見て……」
「……」
「む? 聞こえていないのか?」

 キャロムは、私達とは別の訓練をディゾール様に言い渡された。初心者の私達と違って、彼は基礎から学ぶ必要はないのだ。
 そのため、彼はまだその訓練をしている。そんな中で、何故か私達の方に視線を向けていたのだ。

「もしかして、疎外感とか感じているのかな?」
「疎外感か……それは、確かにあり得るかもしれないな」

 その様子に、私はそんなことを思った。
 私は、ドルキンスと一緒に訓練できて、色々と話すこともできる。
 だが、キャロムにはそれがない。そのため、こちらが羨ましいのかもしれない。

「どうする? 俺達も向こうに行くか?」
「そうだね……でも、結構危ない気もするんだけど」
「それは……そうだな」

 ドルキンスの言葉に、私は完全に頷けなかった。なぜなら、今キャロムの周りは、とても危険だからだ。
 彼は今、ディゾール様から言い渡された魔法を修行している。近寄った場合、その巻き沿いを食らいかねない。
 しかも、彼には今、その魔法によって声も聞こえていないようだ。少なくとも、あの修行が終わるまで、彼に近づくのはやめておいた方がいいだろう。