派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「お姉ちゃんに、もう心配はかけたくないしね……」

 もし私が一日でも帰らなければ、姉は心配するだろう。
 事故にあって、そこからずっと苦労をかけた姉をこれ以上傷つけたくはない。私が不安なのは、ただそれだけだ。

「まあ、一番の問題はシャザームのことだよね……」

 私が無事に帰れるかどうかという事情は、気になるといっても些細なことといえるだろう。
 問題は、暗黒の魔女シャザームのことだ。
 彼女は、ファルーシャの体を使って悪行の数々を働いた。そんな彼女が生き残っているということは、また悪行を確実に働くだろう。
 それを私達は防がなければならない。もうこれ以上、あの暗黒の魔女の好きにさせて言い訳がないのだ。

「といっても、私にできることは少ないけど……」

 そこで私は、少しため息を吐いた。それは、暗黒の魔女との戦いにおいて、私はそれ程役に立てないと思ったからである。
 彼女に対抗できるのは、メルティナ、キャロム、ディゾール様くらいだろう。私にできるのは、その三人を支えることくらいだ。
 もちろん、それも大切なことではあるだろう。ただ、できることなら、実際に魔法面でも役に立ちたいと、そう思ってしまうのだ。

「強くなれないのかな……?」

 私は、ゆっくりとそう呟いた。強くなりたい。そんな思いが、私の中に芽生え始めたのだった。