派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

『以上をもって、歓迎の挨拶とさせてもらう』

 物議をかもした挨拶を、ディゾール様はそう締めた。彼は何事もなかったかのように、壇上から下りていく。
 会場は、すっかり彼のおかげで冷え切っている。正直言って、この後に話さなければならないというのは、可哀想だ。
 そんな可哀想な人を、私は知っている。この後の場面も、ゲームにはあったのだ。

『つ、続きまして、新入生の挨拶です……新入生代表、キャロム・サンドライク、前へ……』

 続いて壇上に上がるのは、新入生代表のキャロム・サンドライクである。彼のことも、私は良く知っていた。なぜなら、彼もゲームの攻略対象の一人だからだ。

「おい、あれ……」
「ああ……なんだ? あいつ?」

 壇上に上がった人物を見て、会場は少しざわつき始めた。それは、当然だろう。その人物は、明らかに私達よりも年下だからだ。
 キャロムは、特例として十三歳になる年にこの魔法学園に入学した。普通なら、それはあり得ないことである。だが、彼は特別だったのだ。
 キャロムは、天才である。あの年で、私達以上の知能を備えている神童なのだ。
 単純に勉強ができるというだけではない。彼は、この世界の偉人とされている人物が行ってきた魔法の開発ができるのだ。
 つまり、キャロムは歴史に名を残すことができる天才ということである。そんな人物であるからこそ、魔法学園に早く入学させるというのが決まったのだ。