派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 私の言葉に、メルティナは驚いていた。
 それは、そうだろう。皆、彼女があの魔法を開発したと思っていたのだから、これは当然の反応である。

「まあ、でも、それは些細なことよね」
「……そうですね。誰が開発したかは、この際重要ではありません」
「それより、そっちはどうだったの?」
「ああ、リリシア様は、元に戻りました。肉体的には、特に問題もなさそうです。ただ、精神年齢は魂を抜かれた時のままで……」
「なるほど……そうなるのね」

 リリシアは、元には戻れたようだ。だが、その精神は肉体の成長と釣り合わない状態になってしまったようである。
 考えてみれば、それは当然のことだ。悲しいことではあるが、仕方ないことである。

「まあ、それは仕方ないことよ。私達に、時は巻き戻せないのだから……」
「ええ、そうですね……」
「後は、リオーブ様やドルラーン侯爵家に任せるしかないわ。私達にできるのは、これで全部でしょうし……」
「はい……」

 リリシアのことは、リオーブやその家族に任せるしかない。私達にできることは、もうないのである。だから、気にしても仕方ない。
 メルティナには、そう思ってもらった方がいいだろう。彼女のことだ。きっとこのことにも心を痛めている。
 その優しさは、彼女の美徳だ。だけど、何もかも背負うと壊れてしまう。どこかで割り切る必要があるはずだ。