派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「すごい! 私、元の体に戻ってる!」
「あ、姉貴?」

 次の瞬間、リリシアは歩み寄っていたリオーブを抱きしめた。
 その様子に、今度はメルティナが驚くことになる。想像していたよりも、リリシアという女性が活発な性格だったからだ。

「あ、でも、私の体、少し大きくなっているね? なんだか、少し変な感じ……」
「そ、それは成長しているからな……というか、姉貴、姉貴は一体現状をどこまで把握しているんだ?」
「え? ああ、リオーブの中から見ていたから、大体のことは知っているよ。でも、なんだか意識が薄っすらとしていたから、覚えていない部分もあるかも……」
「そ、そうか……」

 リリシアの言葉で、メルティナは気づいた。彼女の精神年齢は、十歳で止まっているのだと。
 リオーブの中から見ていたとはいえ、その精神は成長していないのだろう。

「というか、リオーブも変わったよね? 大きくなったし……私のことお姉ちゃんって、呼ばなくなった」
「い、いや、それは……」

 メルティナは、リリシアのことに対して悲しみを覚えていた。暗黒の魔女のせいで、彼女は時間を失った。それは、とても悲しいことだとそう思ったのだ。
 だが、それでも、目の前の彼女は笑っている。その笑顔をせめて無事に取り戻せたことはよかったと、メルティナはそう思うのだった。