私達は、ファルーシャの実家であるラルキネス侯爵家の屋敷に来ていた。
 事前に連絡していたこともあって、すぐに部屋には通してもらえた。別の馬車で来ていたレフェイラの体とディゾール様も一緒だ。

「確か、ここに扉が……」
「これは……」

 レフェイラは、自室のカーペットを捲った。すると、そこには戸があった。これが、例の研究室に続く戸なのだろう。
 ファルーシャは、ゆっくりとその戸を開けた。見えてきたのは、梯子である。

「レフェイラ嬢をこの中に入れるのは、難しそうだな……」
「ええ……とりあえず、そこのベッドに寝かせておいてください」
「それが良さそうだな……」

 ファルーシャの指示に従い、ドルキンスはレフェイラをベッドの上に寝かせた。
 とりあえず、彼女はここに置いて行き、魂を回収してから、ここに戻ってくればいいだろう。

「さて、それでは中に入りましょうか……この梯子を下りれば、研究室です」
「よくこんな場所が作れたわね……」
「シャザームは、高度な魔法を使えましたから……」

 ファルーシャに続いて、私達は梯子を下りていく。
 下りた先は、確かに研究室といえそうな場所だった。怪しげな器具がいくつも並んでいるそこは、何か実験などが行えそうである。