派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「メルティナさんは、かなり優秀な人間であるようです。一部の貴族達は、彼女に対して敵意を持っているそうですよ」
「敵意ですか……それは、物騒ですね」
「きっと、自分達の地位を脅かされるのではないかという恐怖があるのでしょうね。平民が成り上ってくるのが気に入らないという貴族は、残念なことに少なくありませんから」
「そうですね……」

 ファルーシャの言葉に、私は少し微妙な気持ちになる。『Magical stories』の本編では、彼女の言う人物の役割はアルフィアが担っていた。大々的に彼女を虐めていた諸悪の根源だったのだ。
 もちろん、今の私はそうなるつもりはない。だが、それを聞くとやはり色々と複雑な気持ちになってしまうのだ。

「さて、そろそろ入学式の時間ですね……リオーブ様は、そろそろ来たのでしょうか……」
「あ、そうですね……」
「流石に、あいつももう来るとは思うのですが……」

 色々と話している内に、入学式の時間が迫ってきていた。リオーブ様は大雑把な人物ではあるが、遅刻するような人ではない。ぎりぎりではあるが、時間には間に合う人なのである。
 だから、そろそろ来るはずだ。そう思って辺りを見渡した私達は、一人の見知った男性を見つける。

「おっと、勢揃いだな……」
「リオーブ、またお前はこんなぎりぎりに……」
「そんなに固いこと言うなよ、バルクド。別に、時間には遅れていないのだから、いいだろう?」

 リオーブは、不敵な笑みを浮かべながら、こちらに近づいてきた。
 何かを注意するバルクド様を受け流すリオーブという図は、いつも見る光景である。この二人にとって、このやり取りは日常茶飯事なのだ。