派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「そういえば、お二人は今年入学するとある平民のことをご存知ですか?」
「とある平民? 誰か、特別な人でも入学するのですか?」

 そこで、ファルーシャが話を変えてくれた。恐らく、気を遣ってくれたのだろう。バルクド様が、これ以上リオーブのことで心を痛めないようにと。
 彼女の発言に対して、私はとある人物のことを考えていた。特別な平民、それはもしかして私がよく知っている彼女なのではないだろうか。

「メルティナさんという平民がいるそうなのですが、なんでも彼女はかなり高い魔力を有しているそうです」
「そうなのですか? まあ、平民で魔法学園に入学するくらいですから、優秀であることは当然なのかもしれませんが……」
「その当然以上の力を、彼女は持っているということです。千年に一度の天才と称されることも、あるそうですよ」
「千年に一度ですか……確かに、それはすごい人ですね」

 ファルーシャは、私の予想通りメルティナのことを話していた。わかっていたことではあるが、やはり彼女もこの魔法学園に入学してくるのだ。
 その事実を聞いて、私の体は少し震えていた。別に彼女を怖がる必要などないはずである。彼女を虐めなければ、何も問題はない。そもそも、アルフィアの破滅は因果応報なのだから、彼女に恐怖するのはお門違いである。
 だが、それでも怖いと思ってしまう。それは、私がこれから辿る可能性がある運命に対する恐怖なのかもしれない。