派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 私は、自分が空に浮かんでいることに気がついた。地面に見えるのは、私だ。アルフィアではない『Magical stories』の世界に来る前の私だ。
 私は、地面に倒れている。その体からは、真っ赤な血が流れている。そう、私は車に轢かれたのだ。歩行者側の信号は、確かに青だったのに急に突っ込んできた車にはねられたのである。
 どうして、今更、そんな嫌なことを思い出しているのだろうか。私は、それを疑問に思っていた。
 だが、直後に私は、自分の頭上に何かがあることに気がついた。それは景色だ。どこか見覚えのある景色が、空に広がっているのだ。

「これは、『Magical stories』の世界なの……?」

 そこに広がる街並みは、『Magical stories』の世界と同じであるように思えた。どうして空にそんな光景が広がっているのか、まったく意味がわからない。

「うっ……」

 私の体は、自然とそちらに吸い寄せられていった。その流れに逆らえず、私はそのまま別の世界へと移っていく。
 そこで、私はまたあることに気づいた。誰かが、私を呼んでいることを。

「女の子……?」

 私の目の前にいるのは、一人の女の子だった。赤い髪の虚ろな目をした女の子が、私の目の前に座っている。彼女に、私は引き寄せられたのだ。
 直後に、私は理解した。この女の子は、私を欲しがっている。いや、正確には、魂を求めているのだと。

「何が……どうなっているの?」

 私の体は、ゆっくりと女の子の体に吸い込まれていく。それと同時に、私は意識が薄れていくことを実感していた。
 訳がわからないまま、私の意識は落ちていく。深い場所へとゆっくりと。