「調べ物か……ということは、図書室か?」
「あ、はい」
「それなら、丁度いい。俺も、そこには用があった。バルクド、俺がアルフィアについているから、お前はメルティナを送ってやれ」

 私の言葉に、リオーブはそう言ってきた。どうやら、彼も図書室に用があるらしい。
 別に、私に付き添いは必要ない。だが、きっとバルクド様はそれでは納得しないだろう。
 だが、これなら丁度いい。きっと、彼も納得してくれるはずだ。

「リオーブが、アルフィアさんと? いや、それなら、僕がそっちに行った方が……」
「お前は、俺に一旦寮まで送って行って、また戻って来いというのか?」
「いや、しかし……」
「別に、何もしやしないさ。少しは親友を信頼したらどうだ」
「……そうだな。確かに、その通りだ」

 リオーブの言葉もあって、バルクド様は納得してくれたようである。これで、特に問題はないだろう。
 そう思った私は、ふとメルティナの笑みが引きつっていることに気づいた。そこで、私は思い出す。そういえば、メルティナは時が巻き戻る前にバルクド様と結ばれていたのだと。
 そんな彼女にとっては、この提案は心穏やかなものではないかもしれない。もしかして、この提案は失敗だっただろうか。
 しかし、今から意見を変えることもできない。これが一番丸く収まるのだし、メルティナには少し申し訳ないが、我慢してもらおう。