「そこで、俺はお前達に一つ頼みたいことがある」
「頼みたいこと?」
「俺は、今回の事件には確実に裏があると思っている。それは推測ではない。ただの勘だ。だが、俺は自らの勘に自信を持っている。故に、俺は犯人を捜すつもりだ。しかし、俺一人の力では限界がある。そこで、協力者が欲しい」
「協力者……」
「自力で仮説を導き出したお前達なら、信用できる。俺に手を貸せ。お前達に、その気があるならな」

 ディゾール様は、口の端を歪めていた。その面構えは、どちらかと言えば悪役である。
 私とメルティナは、顔を見合わせた。彼女の表情を見て、私は理解する。答えは、既に決まっているのだと。

「私達で良ければ」
「ふん、ならば、これからよろしく頼むぞ」
「はい」

 私達は、事件の黒幕を探している。そんな私達にとって、彼の提案をはねのける理由などなかった。
 こうして、私達はディゾール様と協力関係になるのだった。