派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

 褒められているが、別に私は何もすごいことなどしていない。当たり前のことに気づいただけなのだ。
 どうして私を含めて皆気づかなかったのか。そう思う程に、ことは単純である。何れは、確実に誰かが気づいていたはずだ。
 偶然私が早かったのは、恐らくメルティナとキャロムの実技の授業での謝罪を俯瞰して聞いていたからというだけの理由だろう。当事者でなかったため、謝罪の内容以外のことも考えられた。それだけのことだろう。

「どうやら、私達は難しく考え過ぎていたみたいね」
「そうかもしれない。だが、気づけたのは大きなことだ。レフェイラに実技の授業中に誰かが魔法をかけた。この線で考えてみよう」
「そうなると……黒幕は、私達のクラスメイトということになるわね」
「ええ、そうなりますね……」

 もし私の予測が正しいとしたら、黒幕はクラスメイトの誰かになる。あまり考えたいことではないが、いつも教室でともに過ごしている者達の中に、クラスメイトを操っている者がいるのだ。