派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

「……メルティナさん、こんな時に言うことではないかもしれないけど、色々とごめん」
「え?」
「僕は、あなたに対して勝手な敵意を向けた。それを謝っておきたかったんだ」
「……そうですか」

 そこで、キャロムはメルティナに謝罪をした。落ち着いた結果、魔法の実技の授業での件を申し訳ないと思うようになったのだろう。
 それは、いいことだ。キャロムにどんな事情があったとしても、それでメルティナを責めていい理由にはならないのだから。
 ただ、私は少し気になっていた。なんというか、この会話に違和感があるのだ。何か、大事なことを見落としているようなそんな感覚が、私を悩ませてくる。

「いやあ、二人が仲直りして、一安心だな。あの魔法の実技の授業の時は、どうなるかと心配していたものだが……」
「魔法の実技の授業……? そうだわ、どうして気づかなかったの!」
「おお? アルフィア嬢、どうしたんだ?」

 私は、あることに気がついた。魔法が学校で検知されたのは、レフェイラとキャロムだけ。その前提を覆す事実があったのである。