運命の”アイ”ナンバー

「おいしかったですね!」

口の端に付いたソースを拭きながら笑顔でそう言った。

昨日と違い今度はお互い食事していたのだから少しくらい見てもいいだろうと思っていたのだが、昨日と変わらずハムスターみたいに小さな口を一生懸命大きく開けてパクパクと食べていた、飲み物も変わらずぶどうジュース。

この子、こんなに可愛いのに彼氏がいないのが不思議なくらいだ。
本人が断り続けているらしいからそれでいいのかもしれないけれど。

それもアイナンバーが原因なんだろうか。

「初めてこんなおしゃれなお店に入りましたよ」

「僕もだよ。昨日の夜に美術展を調べるついでにその周辺も調べてたんだ」

そろそろ続きの話やら気になることに付いて質問してみるか。

「僕コーヒーのお代わり頼むけど橘さんどうする?」

「ぶどうジュースで」

そんなにぶどうジュース好きなんだ。