運命の”アイ”ナンバー

黒のスニーカーにスキニー、上は少しダボッとした無地の白い長袖。斜め掛けしている小さなバック。

「ごめんなさい。またせちゃいましたか」

クラス内でひと際静かなあの橘さんの私服、初めて見た。

うるさい女子グループとは違い大人っぽく整った面立ちをしていて尚且つ小顔、可愛いとは思っていたけれど人って服が変わるだけでここまで印象が変わるものなんだな。

「どうしたの?私の顔何か付いてる?」

「い、いや。その」

「…?」

「服、似合ってると思って。可愛いと、思います」

「え。あ、ありがとう、、ございます」

両手を自分の両頬に当てたと思ったらくるんと回って背中を向けられてしまった。まずい、きもかったか。

駅前で何やってるんだろう、付き合いたてのカップルじゃあるまいしましてやデートでもないわけだし。

「それじゃ深川君。お願いしてもいい?」

少し頬を赤くして僕を向きなおした橘さんが言った。もしかして照れてたのか?いやまさかな。

「そうだね。そろそろ行こ。あ、髪は結んでね。ヘルメット被ってもらわないといけないから」

「わかりました」

女性はそうやって髪を結ぶんだ。おっきいシュシュに綺麗な白髪ロングが結ばれてく。

「準備出来たら後ろに乗ってくれ」

「お願いします」

「しっかり捕まってくれ、落ちるかもしれないから」

「はい。し、失礼します」

橘さんが後ろから僕を抱きしめる形になった。まずいな、これは通常以上に気を付けて運転しなければ。