「ピアノの発表会あんの?いつ?」

尋ねられるままに答えたら、こっそり見に来ていたらしい。

当時の教育方針で、毎日提出を義務付けられていた日記を、担任が毎日どれかピックアップして読むのだが、よりによって、日向が私の発表会を見に来たという内容を読まれた為に、クラスはざわついた。

小学校卒業までずっと同じクラスということもあり、日向のそんな言動は、進級しても変わらず、

「カンコもスイミング始めたんだって?俺も同じところ通ってるんだよ。何曜日?」

これだけは、答えたくなかった。

というのも、ピアノは得意分野だからともかく、水が怖かった私は、5年生になっても、1、2年生と同じ枠だったのだ。

日向だけでなく、多くのクラスメイトが同じスイミングスクールに通っていたが、みんな年相応か、もっと上か。

私ほど酷い有り様の同級生は他にいなかったので、曜日を誤魔化した。