私は、静かなところのほうが好みなので、それがせめてもの救いだった。

「転んだ子、ただのかすり傷だったよ」

またしても、私の隣に日向が戻ってきて、ギョッとする。

「アンタって、ホントに空気読めないわよね…」

「何が?」

「別に…」

日向は、元同級生だ。

私は、去年の中途半端な時期に、用務員として赴任してきているから知っているのだが、これまでの女性の養護教諭は定年退職し、今年から、私と日向より2歳上の若い女性に変わった。

二人の養護教諭と私は、若いというだけで、三角関係だ何だと、マセガキどもの噂の的だ。

ふいに私は、あの頃を思い出す…。