純色ロマンティック

「冷えてきた。早く帰ろっか」

「っ、」

「柏木さん、マフラーとかしないの?」

「、」

「……寒くない?俺のする?」

「……、」



頭上に新庄くんの心配そうな声が落ちてくる。

なのに、あたしは目さえ合わせられなくて、返事もできないなんて、ますます困らせちゃうのに。


どうしよう、なんにも答えられない。


でも……。

さっきまでとは違う感覚。いつもとは全然違くって。

うまくできないとか、なんて返事したらいいとか、わからないのではなくて……。


伝えたい言葉は決まってて、喉のすぐ手前で待っている。なのに、まだ……。


勇気の出ない自分を追い出したくて、ふと新庄くんを見上げると。



「風邪ひいちゃうと大変だから、これしてて」



あたしの首元にふわり巻かれたあたたかさ、新庄くんの爽やかな香り。



「(……マフラー、貸してくれた、)」



無意識のうちにそのマフラーに触れて。指先に伝わる新庄くんの優しさに引き寄せられるように……



「し、新庄くんっ、」



あたしの声なのに、あたしじゃないみたい。

見上げた先、驚いたようにあたしをまっすぐと見つめる視線。


高鳴る鼓動、押し寄せる緊張感、でも、不思議と逃げ出したいとは思わない。



「あの、あたしっ」

「う、うん?」




「あたしは、新庄くんのっ、」