純色ロマンティック

コンビニを出る新庄くんの後ろを追いかける。

もう日も暮れて、陽光の欠片が辛うじて水平線に残っているけれど、空も景色も夜を纏い始めていた。



……一緒に帰るっていうのは、どうすればいいのかな。

あたしとしては、今までも新庄くんと一緒に帰っていたようなものだけど、それはもちろん彼は知らないはずだし……。


なんだかふわふわして足取りはおぼつかないし、身についたストーカー気質のせいで、新庄くんと距離がだんだんと開いていく。どうしても、後ろからそっとつきまとうような態勢になってしまって、その背中を見失うなんて失態はしないけれど、この距離を縮める方法も分からない。


それに。



「(誰かと一緒に帰るの、初めてだもん……)」



小さい頃から、みんなの輪に入るのが苦手だった。他の子のように自然にできなくて、一度身構えてしまえば視線が怖くなって。全然うまくできなくて、避けていたらいつの間にかひとりになってしまった。


でも、ほんとはいつかって願っていた。



……いまなら、言えるかな。

まだ肩にも、頬にも、腕をまわされた髪の上にも、新庄くんの優しい名残があるうちに。

間近で見た彼のちょっぴり染まっていた頬が、あたしの中も同じようにあたたかくしてくれているうちに。



……新庄くん、あたしね。ずっと、思ってたんだよ。


高校の入学式で、友達とふざけあって笑う新庄くんを見た時から。

同じクラスになって、目が離せなくて。

自然体なのに、ほんとは気遣いの人で。誰とでも他愛もないお喋りができて。

笑顔を分け与えられる人。



あたしは、新庄くんの……。

あたしは、新庄くんに……。



きゅっと胸の奥が鳴る。

とくんっと優しいのに少しだけ苦しいその音が、あたしを前に向かわせてくれる。


近づきたい、新庄くんに。

そう踏み出そうとした時。



「一緒にっていうのは、ここ(・・)にいて欲しいってことなんだけど」



すぐ近くから聞こえた声に、駆け出そうとしていた足が止まる。

となりを見上げれば、新庄くんが優しい目であたしを見ていた。



もっと前を歩いてたはずなのに。戻ってきてくれたの……?

それに、ここって……。



「俺のとなり」



ざぁっと吹いた北風に髪を攫われる。

でも、全然冷たく感じないのは、新庄くんがあたしだけに向けてくれた、この笑顔のおかげだ。