純色ロマンティック

新庄くんに見つからないように気をつけながら、商品棚を利用してなんとか会話が聞こえる位置まで近づく。



「あ、理斗!これ、新発売らしいよ。炭酸めちゃめちゃ効いてるらしい」

「へー、そうなん?」

「山下がゲップ連射してて、マジでやばかった!」

「なんだ、それ。やばいな」

「それをさ、金井ちゃんに見られちゃったらしくて。ほら、あいつ金井ちゃん好きじゃん?」

「あー? 平気だった?」

「すげぇ嫌な顔されたらしくってさ。山下、マジ泣きしてた!」

「つーか、あいつらまだくっつかねぇんだ」

「もう付き合う前から、すでに公認なのになー」

「みんな知ってるしな」



テンポよく続いていく会話。

こういうふうに、どうやったら会話が続いていくんだろう。

どうして、身構えずに、言葉を繋げるのだろう。

何度も盗み聞いているのに、なかなかその秘儀に近づけない。


クラスメイトの山下くんと金井さん、両想いなんだ。

みんな、知ってるんだ……。


つん、と鼻の奥が痛くなるから胸元に抱えている鞄に顔を埋めると、新庄くんたちが移動する気配。見つからないようにあたしもそぉっと動くと、ふたりはレジで肉まんを買って出ていった。


こっそりのぞけば、楽しそうなふたり。

さっそく肉まんを頬張って白い息を吐きながら、帰っていく後姿。


……いいな、友達と寄り道。


耳に残る笑い声。身構えない心地よい関係。ひとりじゃない、世界。



「(どれも、眩しい……)」