「なんでって、男の人はみんな気にするもんなんじゃない? 特にこだわりもなかったし、どっちかというとおしゃれに興味ない感じ……ああ、でも、私との歳の差を気にしてたから、それで余計に老けて見られるのが嫌だったのかも? 変なところで健康志向だったし」

「そっか、もしかしたら優武さんは信愛ちゃんに嫌われたくなかっただけじゃなくて、信愛ちゃんと釣り合いが取れるような人でありたかったのかもしれないね」

「釣り合い……」

 優武は自分では信愛と釣り合わないと思っていたという事だろうか。なんでそんな風に思うのか知りたい。優武は一体何を思って、何を感じて、何を気にして生きてきたの?

 一陣の突風が信愛の中を吹き抜ける。

「優武、くん……!」

 稲妻に打たれたような衝撃。心臓が高鳴る。胸が熱い。呼吸が苦しい。濃厚な優武の気配に感涙しながら震えた。今の燃えるような熱い情景は優武の恋心だ。交際する前の煩うほど恋焦がれた彼の思いが突風となって伝わったのだ。